usingと型エイリアス[C++11]
usingは、言語毎にさまざまな用途で使われますが、C++では名前空間の使用で使われています。配布サンプルにある「using namespace std;」ですね。これとは別に、usingには型エイリアス(別名)を付ける機能があります。C言語でやってきたコレですね。
typedef int INT; typedef char *CPTR; (1) INT a = 100; CPTR p = nullptr; (2)
マクロによる置き換えではなくれっきとした別名なので、(1)のようにポインタ型の別名も定義できます。(2)でその別名で変数宣言していますが、CPTR自体がポインタ型なので、わざわざ「*」を付ける必要はありません。
このような別名定義は、C++ 11からはusingを使うと以下のリストのように書けます。
using LONG = long; using STR = string; LONG l = 1L; STR s = "string";
typedefと書式が異なり、「別名 = 型定義」というようになります。単純な型だとあまり違いはないように見えますが、関数ポインタの型やテンプレート型の別名を付けたいときには、usingの方がスッキリわかりやすく書けます。
生文字列リテラル[C++11]
最後は、生文字列リテラルを紹介します。最近のプログラミング言語では、文字列リテラルの扱いが工夫されているものが多いですね。我らの知っているC/C++言語では、Windows環境でのファイルパス、JSON文字列を文字列リテラルで用意するときに、以下のリストのように書く必要がありました。
auto path = string("C:\\Users\\nao\\Document");
auto json = string("{\"name\": \"value\"}");
C/C++では文字列リテラル中のバッククォートはエスケープに使われますし、文字列の囲みに単引用符は使えませんから、二重引用符を文字列リテラル中で使いたければバッククォートでエスケープする必要がありました。
余談ですが、国内でCコンパイラが使い始められたころ、文字列リテラルに日本語を使うと文字化けするという事象がたびたび発生しました。それは、当時の日本語の文字コードがシフトJISであることが多かったためで、コードの下位バイトがバッククォート(円記号)であった場合にエスケープとして解釈されて、文字化けしてしまったというわけです。そのため、筆者などは専用のフィルタプログラムを作成し、バッククォートをエスケープしてからCコンパイラに通すといったことを行っておりました。Unicodeが標準の今の時代では考えられないことですね。
話を戻しますと、このような書き方(エスケープする書き方)は書くのも面倒ですし、複雑になってくるとミスも起きがちです。そのためか、C++11において、「生文字列リテラル」が使えるようになりました。生文字列リテラルを使うと、二重引用符やバッククォートを、そのまま文字列リテラル中に記述できます。上記のリストは、以下のリストのように書き換えられます。
auto path2 = string(R"(C:\Users\nao\Document)");
auto json2 = string(R"({"name": "value"})");
文字列本体を「R"(~)"」で囲むだけです。これで、リテラル内のバッククォートや二重引用符がそのまま文字列リテラルに入ります。見た目にもスッキリしますし、何より間違いが起きにくく、書くのも面倒でないのがよいですね。
なお、改行もそのまま入りますので、いわゆる「ヒアドキュメント」のようなことが可能です。というより、\nを入れても「\n」となってしまうので、むしろこの方が自然です。注意すべきは、スペースもそのまま入るので、インデントをうかつに使えないというところでしょうか。
auto message = R"(One,
Two,
Tree!)";
まとめ
今回は、C++のモダンな言語仕様をピックアップして紹介しました。他の新しいプログラミング言語に備わっている便利な仕様が、C++でも使えるということをお伝えできたのではないかと思います。
次回は今回に引き続き、C++14以降で導入されたイマドキの機能を紹介する予定です。
